太陽のない世界-2

20171207

太陽のない世界の話である。
そこは七色に輝く光の森だった。植物たちは自ら光ることで活動し、栄養をたくわえ、成長するすべを身に付けていた。
植物たちは一定の感覚で種類ごとに発光と消灯を繰り返し、森はいつでもどこかで光り輝いていた。

その光は七色で、植物たちは互いに反射して万華鏡のようにくるくると変化し、胞子や埃はきらきらと舞い、美しい光景を作り出していた。
私は白い蛙だった。絶えず輝く光の森で暮らしていた。植物たちの放つ光によってほのかに七色に染まった体はまるで、内側から発光しているかのようだった。

しかし、私は自ら発光することは出来なかった。植物の光を頼りに、小さな魚や虫を食べて生活をしていた。
私と同じく、自ら発光できないものがいた。それは意外なことに、森の大部分を占めている木々だった。
木々はその白い幹を、植物たちの光によって輝かせていた。光。それが、森に必要な最低限の資源だった。

世界の夜は限りない闇に包まれていたが、森だけはいつでも煌々と瞬くように輝き続けていた。

ある日、大きな地鳴りが響いた。どこかで火山が噴火したようだった。植物たちはざわめき、森に生きる動物たちは自らの住処でじっと身をひそめた。
地鳴りがやみ、しばらくすると、雨が降り出した。黒い雨だった。雨は、植物たちを打ちのめし、木の葉を枯らし、大地を汚染していった。すべてを根から枯らしていった。
もはや、森は光を失ってしまっていた。暗闇となった森を捨て、動物たちは次々と旅立っていった。

私も例外ではなかった。しかし、私は森を出るにはいささか、小さすぎた。黒い森には、かつて動物たちが住処にしていた穴や、食べ終えた木の実の殻や、這いずり回って引っ掻いた爪の傷などが残されていた。すべては跡だった。

だれもいない森を、ピョコン、ピョコンとすこしずつ進む。私は、私の小さな影に気が付いた。ふと空を見る。静寂の真上には、美しい星たちが瞬いていた。
世界はまだ終わってはいなかったのだ。私は、黒い大地に寝そべってみた。私の白い体は星たちに照らされ、ぼんやりと輝いた。

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